関羽雲長
本籍地から逃げ出したときに字を長生から雲長に変えたが、逃げ出した理由は正史には書いていない。
劉備が平原の相になると張飛と共に兄弟のような恩愛を受けた。この一文が演義の「桃園の誓い」の元になったようだ。
関平が養子だったことは確かなようだが、どのようにして養子になったかは書いていない。
呂布との戦いの時「秦宜禄の妻を娶りたい」と何度も曹操に言上した。
当時は敗将の妻を娶る事は当たり前だったようで、曹丕も袁氏の妻を娶っている。
それにしても敗将の妻を娶りたいとは演義を読み慣れている者にとっては驚く。
徐州の戦いに敗れて曹操の捕虜になり、白馬の戦いで顔良を倒したのは演義と同じだが、正史によると顔良との戦いでは、大軍のまっただ中で顔良を刺し殺して首を斬った、とある。
演義で関羽の武器が「青竜刀」になっているが、正史には武器は書いていないし、顔良を刺し殺したとあるので槍のようなものだったのかも知れない。
また、董卓討伐の時董卓の将軍華雄を斬ったのは孫堅であって、演義のように華雄と戦った事はなかった。
馬超が投降してきたときの逸話も正史に載っていて諸葛亮からの手紙を周りに見せびらかした、とある。
また、肘の手術をしたときは、碁を打っていたのではなく宴会を開いているときだった。
糜芳と傅士仁の裏切りも、関羽は「帰還したらこいつらを始末しなければならない」と言ったことから、裏切りに走らせた、と書いてある。
劉備が王となり、将軍の位を贈ったときに降将の黄忠同列なのに不満を持ち費詩にたしなめられているのは、演義にも書かれている。
このように考えてくると、演義に書かれている「義に篤く部下には優しい」と言うのも一概に信用できない。
演義に書かれている徐晃とのやりとりは「蜀記」にあるものを元に書かれた。
関羽の最期は演義と大分違う。
関羽伝では、孫権は将軍をつかわして迎え撃ち、関羽と子の関平を臨沮において斬り殺した、とある。
また、「呉書」には、孫権は将軍藩璋を差し向けて、あらかじめ関羽の退路を断っておき、関羽がやってくるとすぐさま斬り殺した、とある。
小説としては一代の英雄関羽の最期がこれではあまりにも惨めなので変えたのだろう。
「呉歴」では、孫権は関羽の首を曹操に送り、曹操は諸侯の礼をもってその死骸を葬った、と書いてある。
関羽の子、関興は幼い頃から評判が高く、諸葛亮も彼の才能を高く評価していたが、二十代前半で亡くなった。（演義ではかなり活躍させているが実際にはあり得ない）
陳寿は書いている。
＜関羽は一万人の敵を相手にできる男と言われ、国士の風格があった。しかし剛情で自信を持ちすぎたために破滅を招いたのは、道理から言って当然である＞
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